おもしろ実験火山の実験雲仙普賢岳の火砕流

 

〈参考〉

○火山噴火の区分

  ・マグマ噴火             ・爆発的噴火(火山灰噴出)

  ・水蒸気噴火             ・非爆発的噴火(溶岩流出)

  ・マグマ水蒸気噴火

 

○爆発的噴火の区分

  ・火砕降下       雪のように降ってくる

  ・火砕流         流れてくる(重力流・密度流)

  ・火砕サージ

 

○火山で生じる流れ現象

  ・火砕流、火砕サージ(固体、液体+火山ガス) 直接噴火で発生

  ・泥流(固体+水)                            噴火以外に雨で発生

  ・岩屑流(固体+空気、火山ガス)              噴火以外に地震で発生 

 

実験@沈む軽石

動画 へのリンク

<実験のねらい>

・軽石はふつうは水に浮くが、高温で着水した軽石は沈むことことを示す。

<用意するもの>
  軽石  ピンセット  ガスバーナー

<操作>

 小石サイズの軽石を用意し、水を入れたビーカーにまず浮かばせる。

 次に、大型ピンセットで軽石を摘み、ガスバーナーの炎で加熱する。

 直ぐに、ビーカーの水に浮かばせるように静かに置くと、ジュッと音がしては沈む。

<参考>
・沈む原因は水蒸気の凝縮や空気の収縮が考えられる。実際の高温の軽石の気泡中は水蒸気を主成分とする火山ガスで満たされており、水蒸気の凝縮によって沈む。水が中に浸入できるのは、大気圧の作用と気泡が連結しているためである。

・これと同じ原理なのが、よく知られている「空き缶つぶし」の実験である。少量の水をアルミ缶に入れ、沸騰させ中の空気を水蒸気と置換させた後、逆さまにして水面につける。その瞬間、大きな音と共にアルミ缶はつぶれる。

・軽石はマグマ中の揮発性成分によってマグマが発泡したもので、火山ガラスと斑晶鉱物 からなる。密度が1g/cm 前後で水に浮くものもある。しかし高温で着水した軽石はどんな軽石でも必ず沈む。

・軽石の発泡度合いは、マグマ中の揮発性成分含有量の指標にはならない。

・発泡はマグマの上昇速度(減圧速度)、火道の状態などの要因が関与し、時にはかなり の過飽和状態になっていることもあり、加熱すると再度発泡を始める。

・軽石は長い時間水上にあると水を吸って自然に沈む場合もあるが、高温で着水した軽石 はどんな軽石でも必ず沈む。→これを実験で示す

・軽石は落下の衝撃で割れやすく、地層中の軽石の大きさは実際より小さい可能性がある。 一般的に直径1m以上の軽石は発見されないと言われている。

・鉱物観察を行うのに適した風化した層では、軽石は粘土化してつぶれている。実際より も小さく見え、堆積した軽石層も実際よりかなり薄く見えている。

 

実験A火山噴火の擬似実験〜火砕流はなぜ発生するか?

<実験のねらい>

・水槽に食塩水と真水の比重の異なる2層をつくり、その中にチョークの粉を溶かした液を噴出することによって、プリーニ式噴火、火砕流、溶岩ドームが崩壊して火砕流が発生する様子を見せる。

・溶岩ドームが崩壊して火砕流が発生することは雲仙火山の噴火で広く世間に知られるようになったが、より規模の大きな噴煙が崩壊して生じる火砕流があることを示す。

・噴煙が一方では煙のように立ち上り、一方ではなぜ火砕流になるのか?実は単純な物理 法則が支配していることを示す。

・あわせて、火砕流というのは特殊な現象ではなく、常に意識しなければならない災害であることを示す。

<用意するもの>
   紙粘土で作った火山  鑑賞魚用エアーホース ペットボトル(500ml) チョーク  ビーカー 水槽  水風船  食塩
  

<操作>

 紙粘土(着色後、エポキシ樹脂でコーティング)、観賞魚用エアホース、500mlペットボトル(ホットメルトでエアホースを接着)で組み立てた噴火装置を水槽に設置し、7%程度の食塩水を水槽に入れ、上部に真水の層をつくる。

 チョーク1本を粉にしたものに水を加えて混ぜ200mlとしたものを噴出すると、浮力がはたらき上昇する噴煙(プリニー式噴火)となる。動画 へのリンク

プリーニ式噴火

  次に、チョーク3本を粉にしたものに水を加えて混ぜ200mlとしたものを噴出すると、今度は浮力がなくなり火砕流となる。動画 へのリンク

火砕流

  チョーク3本を粉にしたものに水を加えて混ぜ200mlとしたものを水風船に注入し、水槽に設置して割ると溶岩ドーム崩壊型の火砕流となる。動画 へのリンク

溶岩ドームの崩壊

<参考>

・火砕流は火砕物と火山ガスが混ざった流れである。

・火砕流は発生別に、次の2つのタイプがある。

     溶岩が崩壊して生じるタイプ(雲仙など、規模が小さい)

   噴煙が崩壊して生じるタイプ(壊滅的な、規模が大きなものがある。

                 体積数百立方キロ以上、到達距離百キロ以上)

・火砕流は重力によって加速され、時速百キロ以上と高速である。

・巨大噴火は火砕流を伴いやすい。

・カルデラ形成を伴いやすい。

・密度や流れの状態には変化があり、海を渡って来たり、海底に入り津波を発生させる場 合もある。水中を流れる火砕流もある。

・大規模火砕流から舞い上がった火山灰は、広範囲に降下し、良い鍵層になる。

・大気中の噴火を水中で再現するが、高度に乱流が支配する現象には、素材の物性、スケ ールに無関係な類似性が現れるのでかまわない。事実、専門研究機関でもよく行われて いる。

  

実験B火砕流の興味ある性質

<実験のねらい>

・実際に火砕流がどの様に流れていくのか簡単なシミュレーション実験で知ってもらう。

・火砕流の密度によっては、必ずしも急斜面で加速されない事、水平面でも加速されてし まう事などを示す。

<用意するもの>
   アクリルパイプ  ガラスビーズ(またはビー球) チョーク  ビーカー

 <操作>

 アクリルパイプ(長さ1m、直径10cm程度)を2本用意し、水を入れ、一方は急傾斜、もう一方は緩傾斜に設置する。

 ガラスビーズ(直径5mm程度)或いはビー玉(通常の大きさ)を50ml同時に流す(転がす)。これは急斜面の方が速い。

緩斜面のビーズ急斜面のビーズ

  次にチョーク1本を砕いて、水と混ぜて200mlにしたものを100mlずつ2つに分けて同時に流し込む。今度は緩斜面の方が速い。

斜面の実験1斜面の実験2

<参考>
・火砕流は密度流(重力流)であるので、大気との密度差(重力)が加速力になる。密度 が水より大きければ水中に突入し、大気より小さくなると離陸する場合もある。

・溶岩が崩壊して生じるような高密度の火砕流は、斜面の傾斜が急になるほど加速されて 流れる。一方、噴煙が崩壊して生じる火砕流の中には低密度ものもがあると推定されて いるが、低密度火砕流では大気との密度差、火砕流の高さが加速因子になり、斜面の傾 斜には無関係になる。

 

 

実験C砂を使った液状化実験

 

 <用意するもの>
   ペットボトル、砂、釣りのウキ、釣りの錘

<操作>

 ペットボトルに砂を入れ、水を入れる。中の空気を追い出した後、ペットボトルの底を机の面などに軽く叩きつけて余計な水を捨てる。必要に応じてこの操作を何回か行う。余計な水がなくなったら、砂を耕し、中に空間を作りながらウキを砂の中に入れ、表面に錘を置く。

 ペットボトルの底を机の面などに軽く叩きつけると、液状化し、ウキが表面に現れ、錘が沈む。

<参考>

・液状化はルーズな空間の多い状態で詰まっていた砂が、地震動によってより密な状態に なる際、その空間にあった水の居場所がなくなり、上部にあふれてくる現象である。

 

考文献

笠間友博(2003),水路を使った密度流の実験〜簡単にできる火砕流のおもしろい挙動〜,神奈川県高等学校教科研究会理科部会報,No.47,28-31.

笠間友博(2001),チョークを利用した火山噴火実験,神奈川県高等学校教科研究会理科部会報,No.45,30-34.

火山のおもしろ実験笠間友博 日本地質学会第110年学術大会(静岡)講演要旨、306、2003